【堀江店】メガネの歴史と近代のZEISS社の功績

2019.09.30

こんにちは。

グラスファクトリー堀江店の田中です。

本日は『メガネの歴史と近代のZEISS社の功績』について

メガネは人類としては火の発見や車輪の発明に次いで5番目に重要な発明

その理由は人類史上初めて、何百万人もの人が視力障害に関わらず、良好な見え方を享受できるようになったからです。

現在では当たり前のことですが、メガネが発明されるまでの何世紀もの間、視力障害に苦しむ人々の解決策は何もありませんでした。
私たちが知っている現代のメガネが開発されるまでは、長い時間がかかりました。
この過程では多くの試行錯誤が必要とされ、さまざまなタイプのメガネが現れては消えていきました。

「リーディングストーン」として始まったメガネが、生活を彩るファッションアクセサリーとなるまでの歴史をご紹介します。

メガネの発明は、人類の文化史における重要な一歩と考えられています。
視力障害のある人々が日常生活に積極的に参加できるようになっただけでなく、より長い時間勉強し、より多くのことを知り、他の人に伝達できるようになりました。

古代ローマの雄弁家キケロは、奴隷に文章を読み上げてもらうのが面倒であると嘆いていました。
また、皇帝ネロ(西暦37-68年)は特別な視覚器具を作らせました。
透き通った緑の石を通して剣闘士の戦いを観戦していましたが、石を通った光で目がリフレッシュすることを期待していました。この考えは、19世紀まで続きました。
当時の「サングラス」は緑のレンズを使用しており、室内でも装用されました。
それでは、実質的な視覚補助具の発明はいつ、どこで始まったのでしょうか?

世界初の視覚補助具

アラビアの学者で天文学者のイブン・アル=ハイサム(西暦965-1040年頃)は、滑らかなレンズが視力障害を是正する可能性を示唆した最初の人物です。

しかし、ガラス球の一部を使用して光学的に拡大させるという彼のアイデアが実用化されるまでには、長い年月がかかりました。
彼の著書「光学の書」は1240年にラテン語に翻訳され、多くの修道院コミュニティで熱心に研究されました。
イブン・アル=ハイサムのアイデアが現実のものとなったのは、13世紀のことです。
イタリアの修道士が、書き物の上に置くと文字が拡大される水晶と石英製の半球面レンズを開発しました。

この「リーディングストーン」は、老眼に苦しんでいた高齢の修道士たちに大いに喜ばれ、彼らの生活の質を大きく向上させました。
この時期に、ドイツ語でメガネを指す単語、Brilleが使われ始めました。
この用語は、なめらかに磨いて初期のレンズに使用された水晶の呼び名、beryll(ベリル)に由来します。

メガネ発祥の地

リーディングストーンは人々が日常生活でものを見る助けになりましたが、今日私たちが知っているメガネとはまだかけ離れていました。

最初のメガネは、13世紀に有名なムラーノ島のガラス工房で誕生します。
ムラーノ島はヴェネチアの北にある小さな島で、長年ガラス製造の中心地と見なされていました。
ガラス製作の専門技術は門外不出で製法は極秘であり、cristalleriと呼ばれたガラス職人は、島を離れることを禁じられていました。
規則に違反した人は処刑されかねない時代もあったのです。
この時期、視覚補助具作りに必要な白いガラスはムラーノ島のガラス工房でしか製造されていなかったため、世界中がイタリアを頼りにしていました。

13世紀の終わりに、ガラス職人は画期的な進歩をもたらしました。2枚の凸レンズを研磨し、柄のついた木製の枠にそれぞれはめ込み、それらをリベットで接続したのです。

ついに最初のメガネが誕生しました。

「リベットメガネ」には、装用者の頭に装着する機能は何もついていませんでした。
それでも、かつてない視覚的快適性が実現したのです。
ユーザーは、「二枚のガラス」を目の前に掲げるだけで視力を改善することができました。

発明は、現地の建物にもしっかり記録されています。
1352年、画家のトンマーゾ・ダ・モデナは、トレヴィーゾのサン・ニコロにあるドミニコ修道院の集会所に、読書用メガネとダブルリベットメガネが含まれるフレスコ画を描きました。
ガラス職人たちの努力にも関わらず、ガラス製造の秘訣を門外不出のままに留めることはできませんでした。
ガラス業界のマーケットリーダーとしてのヴェネチアの地位を維持するため、1300年以降は、ガラス職人の規定を完全に順守する者だけが「メガネ」の製造を許可されました。
やがて、リベットメガネはドイツにも広がりました。
最古の例は、ドイツ北部のウィーンハウゼン修道院で発見されています。

時代が進むと、ガラス職人はリベットメガネの柄をアーチ型にし、フレームには木の代わりに鉛を使用するようになりました。
その結果は、視覚補助具の進歩における重要な一歩となりました。
私たちが今日使用しているメガネとよく似た、テンプルがついたメガネの登場です。
さまざまな素材が使用され始めます。
16世紀の初頭以来、革、べっ甲、水牛の角、クジラひげ、鉄、銀、そして銅などが加工されるようになりました。いずれの素材も、富裕層にしか手の届かないものでした。

今日のメガネ

私たちが今日かけているメガネは、18世紀初頭についに登場します。
視覚補助具の最大の問題は、フィット感でした。装用者の顔からしょっちゅうすべり落ちるか、定位置に保たれるものの不快感を伴うかのどちらかだったのです。
従来のモデルと比べた「耳にかけるメガネ」または「テンプルメガネ」の利点は、鼻のブリッジとテンプルにより、耳にかけたメガネが定位置に保たれることです。
フィット感を良くするために、金属製の輪をテンプルの末端に取り付けて使われることもありました。
このようなメガネの最初の例はロンドンで登場し、イギリスの検眼士であるスカーレット氏の1728年の広告パンフレットにも記載されています。

アメリカでもメガネを改善する方法を考えている人がいました。
1784年にベンジャミン・フランクリンが多焦点レンズの前身となる二重焦点レンズを開発したことはご存じですか?
二重焦点レンズが「フランクリンメガネ」として知られているのはこれゆえです。


ベンジャミン・フランクリンが発明したタイプの二重焦点メガネ (1860年頃)。オーバーコッヘン、光学博物館

現代の「テンプルメガネ」は1850年代に普及し始めました。
基本的なデザインは、過去1世紀半に渡ってほとんど変化していません。
しかし、テンプルの設計改良とより快適なノーズパッドによりかけ心地の良さは徐々に改善され、これらの部品は20世紀初頭に解剖学的に完成の域に達します。

近代のZEISS社の功績

この時点で、メガネの品質はひとつの頂点に達していましたが、ZEISSはその後もメガネレンズに重要な改良を加えていきます。
「メガネを使うと使わない時よりもはるかに良く見える」というのが大多数の意見でした。
しかし、ZEISSは自問しました。
レンズを改良することで、メガネ装用者の視覚をさらに最適化することは可能なのか?
ZEISSは、売れ筋の製品に注力するのではなく、視野全体において目をサポートするメガネレンズの開発を1908年に開始しました。
高名な光学科学者であったモーリッツ・フォン・ローア (1868-1940) と、スウェーデンの眼科医で後にノーベル賞を受賞することになるアルヴァル・グルストランド (1862-1930) が率いるチームは、視力改善のニーズが特に大きい白内障患者のためのメガネレンズに、すべての力を注ぎました。

彼らの研究は、1912年に初の点結像レンズであるPunktalに結晶し、アイケア革命のきっかけとなり一世を風靡しました。

Punktalにより、装用者はレンズの周辺部を通してものを見る時にも明瞭に見られるようになりました。
この発明以前では、ものをはっきり見たい場合は、装用者は頭を動かして対象物がレンズの中心に来るようにする必要がありました。
この成果は、今日のアイケアの世界においても重要な基盤であり続けています。

もう1つの成功は、1935年にPerivistがもたらしました。ZEISSは、装用者に合わせてフィットさせられる、世界最初の滑り落ちないフレームを生み出しました。
つまり、ZEISSは初の近代的なメガネを製造したことになります。
それまでは、丸い光学レンズしか使用できませんでした。

1912年、Punktal®により、装用者はレンズの周辺部を通してものを見る時にも明瞭に見られるようになりました。

現代のメガネにできること

精密な遠近両用レンズからデジタル世界に対応した特殊レンズ
運転用メガネまたはコンタクトレンズユーザー向けのメガネレンズまで。
ZEISSは人々の視覚を改善し続けるという目標のもと、Punktal®レンズの発明以来、多くの革新的なレンズ設計とソリューションを生み出してきました。

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Staff profile
田中 翔太(たなか しょうた)

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